
露出配管は昨今のリノベーションで定番となりつつある施工方法。
スケルトン天井(※)を検討している方、リノベーションを予定している方はぜひ参考にしてください














※スケルトン天井とは、クロスなどの内装材が一切なくコンクリートがむき出し状態の天井のこと
露出配管のメリット


我が家の露出配管。コンクリート打ち放しの壁や天井にはコンジット管がよく使われます
- 隠蔽配管に比べメンテナンスしやすい
- 隠蔽配管に比べ工期が短い
- スケルトン天井であれば室内を広く使える
※屋内の露出配管に限ったメリットです
エアコンの設置などで目にする配管工事には「隠蔽(いんぺい)」と「露出」があります。














一方、露出配管はその名の通り、壁や天井に直接取付けて見えるようにする工事方法です。
露出配管のメリットは主に3つあります。
メリット1. 隠蔽配管に比べメンテナンスしやすい
露出配管では何かトラブルがあっても、問題箇所の発見がしやすいです。
隠蔽配管では壁や天井に穴を開ける場合もあるのに対し、配管が見えていれば作業も容易です。
メリット2. 隠蔽配管に比べ工期が短い














リノベーションも同様で、配線する際に壁や天井を壊す必要がないため工事期間を短くできる点がメリット。
メリット3. スケルトン天井であれば室内を広く使える
露出配管にする際、天井をスケルトンにしれば室内の空間を最大限広く使えます。
またインダストリアルな内装に仕上がる点もメリットです。
露出配管のデメリット


スケルトン天井に見える露出配管の一部
- 施工できる業者が限られる
- 場合によっては断熱効果が低くなる
- 追加工事する際は費用がかさむケースもある
デメリット1. 施工できる業者が限られる
見た目を気にせず、配管をただ露出させるだけであれば特に問題はありません。














「どこの業者にお願いしても施工してもらえる」というわけではないことを念頭に置いておきましょう。
デメリット2. 場合によっては断熱効果が低くなる
物件や間取りにもよりますが、施工する場所によっては断熱効果が低くなることもあります。
窓際や玄関など外部との境い目で気になる場合は、事前に専門家の意見を聞きつつ、施工を検討してください。
デメリット3. 追加工事する際は費用がかさむケースもある
露出配管は工期を短くできる反面、場合によっては費用がかさむ場合もあります。
「施工できる業者が少ない」「特殊な配線工事が必要」などが発生する可能性がある点も覚えておきましょう。
リノベーションで露出配管にした我が家














リノベーションではLDKの天井を全てスケルトンにし、電気の配線、換気設備は全て「露出」にしました。
ここからは露出配管にした我が家を例に、その見た目や雰囲気をご紹介します。
露出配管にした電線管


スケルトン天井にしたLDKは電気類を全て露出にしています
分電盤から延びる電気類は、ご覧のとおり金属製のパイプを伝って配線されています。
これらのパイプは、現場で長さや形を微調整しながら施工します。
直線と曲線が混じる美しさは、特殊な技術を持ち合わせる職人さんのおかげ。














※ケーブルモールとは床や壁などにケーブルを固定するための用具のこと
露出配管にした換気設備


排気ダクトも露出です
画像のとおりキッチンや水まわりから出るダクトも露出にしています。














またダクト存在感があるため、これだけで見た目の雰囲気は変わります。
露出配管とボックス類


無骨な配線ボックスも気に入っています
画像に見える四角いボックスには、配線類がぐるぐると巻かれた状態で収まっています。














中身を見ることはまずないですが、この無機質なデザインも露出配管ならではです。
スケルトン天井なら露出配管は気にならない
ひと昔前とは違い、昨今のリノベーションでは天井をスケルトンにする人が増えています。
となると電気や換気設備は自ずと露出になるため、これらを一つのインテリアとして捉える人も多いです。
スケルトン天井のメリット
- 開放感がある
- デザイン性が高い














天井が高くなることで部屋全体も明るくなります。
また家づくりの際、壁や床の内装にこだわる方は多いですが、天井も同じくらい重要。
天井も、部屋を印象付ける大切な要素です。
開放感がある
戸建もマンションも、平均的な天井の高さは約2.4メートル。
中には2.7メートル前後あるマンションもあります。
リノベーション前の我が家は2.2メートルという低さでしたが……天井をスケルトンにすることで、約2.7メートルまで高くすることができました。
デザイン性が高い
「天井も、部屋を印象付ける大切な要素」と前述しましたが、ポイントは素材使いにあります。
我が家はリノベーションの際、異素材ミックスにこだわったこともあり、無垢木、足場板、モルタル、塗り壁、タイル、そしてコンクリートと、様々な素材を採用しています。
天井にクロスを貼る、もしくは塗装するケースは多いですが、デザイン性の高さではコンクリートそのままが一番だと感じています。
スケルトン天井のデメリット
- 施工コストがかかる
- 冷暖房効率が悪くなる可能性がある
- マンションの最上階の部屋はスケルトン天井にできない














また、空調効率の悪さを指摘されることもありますが、これは住戸や物件によって異なります。
施工コストがかかる


リノベーション中の我が家
マンションも戸建も、天井の仕上げ方には二通りの方法があり、スケルトン天井の施工費はこれらに左右されます。
1. 直天井
直天井は、コンクリート天井面にクロスを直貼りして仕上げている状態。
スケルトン天井にしたい場合、直天井であればコストはそれほどかかりません。
2. 二重天井
二重天井は、コンクリート天井面に天井組みをし、数十センチ下げた高さに仕上げ面を設けている状態を指します。
天井組みには軽量鉄骨や木組などがあり、この骨組みにボードを貼って仕上げ面を作り、電気配線などを通すスペースを設けます。
この場合はスケルトン天井にする際、直天井に比べ費用がかかります。ちなみに我が家は二重天井でした。
冷暖房効率が悪くなる可能性がある
スケルトン天井に限った話ではないですが、天井が高くなると冷たい空気と暖かい空気が上下で分離しやすくなります。














我が家のLDKは18帖。リビングでは対角線上にサーキュレーターを置き、空気を循環させています。
マンションの最上階の部屋はスケルトン天井にできない
最上階の住戸の天井は、常に外気にさらされます。
夏は太陽の日差しで暑くなり、冬はコンクリートが冷やされ寒くなりますよね?














「リノベーションでスケルトン天井にしたい」という方は、最上階の部屋を避けるのがベストです。
「あえての露出配管でおしゃれに」まとめ
今や露出配管はインテリアの一つであり、「空間の中で配管をどう活かすか?」が設計者の腕の見せどころでもあります。
またご紹介した配管類は塗装することもできるため、天井の色と揃えることも可能。
配管を直付けではなく「吊る」方法にすれば、パイプに植物をハンギングして楽しめるなど、露出配管がインテリアにもたらす効果は高いです。
賃貸では楽しめない露出配管をぜひ、あなたもリノベーションに取り入れてみてください。
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